症例紹介

Case49 皮膚肥満細胞腫の犬の1例

掛かり付けの動物病院での針吸引生検で肥満細胞腫と診断されたトイプードルちゃんです。
左大腿部の付け根の皮膚に約1cmの腫瘤が認められました。

MCT1s
肉眼所見
MCT2s
手術時の肉眼所見

手術の準備で剃毛、消毒した際、はじめに認められた腫瘤の周りに膨隆が認められたため、膨隆部分の針吸引生検を行ったところやはり肥満細胞が採取されました。

MCT3s
細胞診所見〜肥満細胞

膨隆部分から水平方向に最低2cmのマージンを確保し、無理なく縫合出来る様「鳥の目型」に皮膚に切開を加えます。深部方向は筋膜1層を切除します。

MCT4s
手術所見1
MCT5s
手術所見2
MCT6s
手術所見3

 

 

 

 

 

 

 

 

腫瘤を切除した後は筋層を閉鎖し、次いで皮下織と皮膚を縫合して終了です。

病理組織検査の結果グレードⅡと診断され,マージンフリー(マージンとして採材された組織に腫瘍細胞が認められない)でした。

 

 

犬の皮膚肥満細胞腫は犬の皮膚腫瘍中最も多く見られる悪性腫瘍で、「偉大なる詐欺師」とよばれるように、悪性のものから比較的良性のものまでと幅広く見た目も様々です。

多くの場合は針吸引生検で診断可能ですが、特徴的な細胞質内顆粒を持たないあるいは少ない肥満細胞腫もあり注意が必要です。

治療は手術、化学療法、放射線療法があります。

手術適応症例では、水平方向2cmおよび底部筋膜切除が推奨されます。

切除した腫瘍は病理組織検査で組織学的グレードとマージンの評価を行い、さらに腫瘍の発生部位、転移の有無などを考慮して化学療法や放射線療法を併用するか決定します。

 

調布市 つつじヶ丘動物病院

 

 

 

 

 

ありません。